最終更新日:2014/4/18

受賞者インタビュー

日本マイクロソフトとユーザー企業が
Win-Winの関係を築く広告を目指しました

日本のリーディングカンパニーが
活用していることを広く伝えたい

Q 日経ビジネスに掲載した「Office 365」の広告が大きな反響を呼びました。
 この広告の意図はどういうところにありましたか?

江端 「Office 365」はビジネスに必要な機能をオールインワンで提供するクラウドサービスで、移動中や遠隔地でも社内システムと同様の業務を行うことができるサービスです。業界をリードする企業様が導入していますが、その認知をさらに高めていく必要があります。ユーザー企業様の活用事例を紹介することで、すでに広く活用されているクラウドサービスであることを伝えるのが今回の広告キャンペーンの意図です。

Q ユーザー企業のロゴを使わずに統一感のある広告になっています。
 クリエーティブについて、どのように工夫しましたか?

江端 企業のロゴを入れる事例広告はたくさんありますが、その企業の広告に見えたり、シリーズ化してもそれが伝わらず、別々の広告に思われる場合もあります。あくまでも「Office 365」の広告ということを認識してもらいながら、ロゴを使わずにその企業様の事例であるということを表現するのは難しい点でした。左頁でユーザー企業様を抽象的に図式化し、右頁で「Office 365」をどのように活用されているかという実例を解説する構成にしました。最も気をつけたのは、左頁を見ただけで、事例企業様の事業内容が理解できるよう、シンプルかつわかりやすく表現すること。どの企業の広告にも「IS NOW ON OFFICE 365」と統一したメッセージを訴求することで、「この企業も使っている」と理解していただけるようにしました。その結果、ユーザー企業様から、非常に喜んでいただける広告になりました。例えば、大林組様の場合、品川インターシティ、明石海峡大橋、東京スカイツリーという大林組様の代表的建築物を図式化し、建築業であることを表現しました。大林組様では、自社のサイトでこの広告を紹介してくださいました。こういうコラボレーションができて、うれしく思います。

グローバルのフレームワークにのっとりながら
ローカライズで日本の消費者の共感を得る

Q マイクロソフトがグローバルで展開する広告を日本に適応させたそうですが
 グローバルのルールはあるのですか?

江端 グローバルのルールにのっとりながら、日本で独自に展開する部分も少なくはありません。今回のシリーズ広告では、日本航空様の事例が典型的でした。このシリーズ広告は世界中で展開していますが、ブルーと白の2 色で表現しています。しかし、日本航空様のイメージカラーを考慮し、日本の消費者には赤で訴求したほうがいいと本社に提案し、例外的にデザインを変更いたしました。また、ヤマハ発動機様の広告のバイクについても、本社からはアメリカンバイクのモチーフが提案されました。ところが、ヤマハ発動機様からは現在注力されているスポーツタイプのバイクを使ってほしいという要望があり、本社と交渉してそれでいくことになりました。事例広告はその国のビジネスパーソンが共感しないと意味がありません。統一したフレームワークは必要ですが、自由度があり、ローカライズできることはとても重要です。結果として、今回のシリーズ広告は日本のお客様への訴求力が高く営業にも活かせると、社内や弊社のパートナー様の間でも非常に良い評価を得ています。

ターゲットの注意と興味を引く
シンプルでわかりやすい広告

Q 事例を紹介する企業はスムーズに決まりましたか?
江端 企業様の選定と交渉には時間がかかりました。業界を代表し、かつ「Office365」を導入することでワークスタイルの変革を実現している企業様を選定させていただきました。選定した上で交渉に入るのですが、お客様の同意をいただくまでに半年かかったケースもあります。右頁の文章の構成にも時間を費やしました。事例企業様を取材して、「Office 365」のどの機能が活用されているかを浮き彫りにし、簡潔なボディコピーを作成しました。それを、こちらのメッセージを伝えつつ、ユーザー企業様に十分に納得いただくまで何度も変更を重ねました。まさに、広告ではなく“ 共告” もしくは“ 協告” といえるでしょう。この場を借りて、今回の事例に参加いただいた企業様には厚く御礼申し上げたいと思います。

Q ターゲットの明確さ、インパクトの強さ、創造性の3 要素を満たしているという講評がありました。
江端 非常にうれしいです。まず、ターゲットの「アテンション(注意)」を引き、次に「インタレスト(興味)」を喚起し、さらに、もっと知りたいという「ネクストアクション」につなげられればいいと考えました。広告のクリエーティブ上は「アテンション」と「インタレスト」にフォーカスしていますが、日本では例外的に検索ボックスを広告に掲載することで、広告に接触したお客様の「ネクストアクション」を促進するように工夫しています。

Q 雑誌に求めることは?
江端 雑誌はターゲットが明確で、我々が狙うターゲットへの到達効率も高いと思います。このシリーズ広告によってサイトの訪問数が増えるという結果を出しました。今後は、雑誌だけでなく、デジタル、ソーシャルなどの多様なメディアを統合的にプランニングし、統一感のある広告を出していきます。今回の成功体験をふまえ、“ 共告” “ 協告” といえる事例シリーズを近々発表します。こちらもご注目ください。

(聞き手は日経デザイン編集委員・勝尾岳彦)
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